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ATX自作・フェチ編

フェチ fetishistの略。 特定の種類の物に異常な執着・偏愛を示す人 (Yahoo「大辞泉」より抜粋)

ここで紹介する面々は必ずしも自作中毒患者ではない。しかし多くの場合、自作中毒症を併発しているのも事実である。


臭いフェチ

破裂したキャパシタ 破裂したキャパシタ(コンデンサ)の臭い、あるいは、抵抗の焼ける臭いなどに異常な興味を示す者を示す。自作中毒患者における臭いフェチの比率は一般人より2ケタほど多い。また自作中毒患者のみを母集団とした場合に最も多く見られるフェチも臭いフェチである。

 健常者にとってはにわかには信じがたいことではあるが、HDDは必ず新品を買いその空袋の臭いを楽しむとか、CPUのグリスの臭いがたまらないと言う患者も実在する。

 尚、臭いの発生源は物質であるとは限らない。 プログラムには臭いがあると主張し自分の気に入った臭いのインストール用のCD(DVD)のみを大量に収集するという患者(*1)も実在している。 

 (*1) 2005年にこの患者が「良い臭い」と主張するCD(DVD)と「悪い臭い」と主張するCD(DVD)の大掛かりな比較調査が行われたが、タイトル、ジャンル、容量等、あらゆる面で統計的に有意な差異は発見できなかった。 

味フェチ

 臭いフェチ以上に危険行為を伴うのが味フェチである。

 CPUグリスの場合において臭いフェチから味フェチに進んだ事例はあるが、一般には両者には何ら共通点はない。

 味フェチには、舌先で各種パーツを舐める程度の者が殆どであるが、中には部品そのものを食べてしまう患者もいる。PCパーツには大量摂取すると極めて危険な化合体を使用している物も多く、一刻も早い発見と治療が必要である。

 金属質の部品を摂取しようとして不幸にも死亡事故に至るケースも少なくない。2007年は第3クオーターまで(訳注:1月から9月)に2件報告されている。

 1件は、4cm角のCPUそのものを飲み込んでの窒息死。もう1件は状況は不明だが解剖所見ではHDDのアーム部分が胃壁から突き出て肝臓表皮に達した状態が確認された。

 他にも舌先で200V(訳注:一般家庭への供給電圧。日本では100V)に触れて感電死に至る事例も毎年数件報告されている。

セメント抵抗など写真は他の味フェチの対象例
砂糖菓子風のセメント抵抗(左上)
グミに見える絶縁用パテ(右上)
竹製絶縁ドライバー(下)
   

竹製ドライバーは、「食べる」対象というよりも「かじる」対象。パンダが笹を「かじる」姿に似ている。但し、中国のAKIBAHARA(訳注:日本の秋葉原のスペルミス、並びに、日本と中国の混同と思われる)においても、竹製絶縁ドライバは入手困難であり、マニア(通称、竹フェチ)の間では高額で取引されている。

束縛フェチ

束縛バンド(商品名;インシュロック)の使用そのものに異常な興味を示す者であり、100%自作中毒患者である。

インシュロック写真はその患者の一人が自作したパソコンの電源部分である。この電源を取り出すまでに100本近くの束縛バンドを切断する必要があった。

 束縛フェチは他の自作中毒患者にくらべ、身体・生命への危険は少ないのは事実であるが、2006年度には自らの左親指を長時間にわたり束縛し切断処置(鬱血による壊疽)に至った事例が報告されている。切断処置には至らない事例を含めると年間数百件程度発生していると推測される。

USBフェチ (コネクタフェチ)

 近年は、USBコネクタがノートタイプでも4、自作タワー型なら10を越すことも珍しくないが、報告された患者が自作したパソコンにはなんと244個のUSBコネクタが装備されていた。

 報告書によると、PCIソケットは専用カードで全て4〜8口のUSBに変換し、更にサイドパネル内側にハブを並べる手法をとっていたとの事。

 某PC雑誌の記者が本人に、「これほどの量を何にお使いになるのですか?」と聞いたところ、「だって、足りなくなるかもしれないじゃないですか」と真顔の答えが返ってきたという。

 更に、「では、いままで最高いくつお使いになりましたか」という質問に対しては、一瞬戸惑ったそぶりを示した後、意味不明の言葉を発しながら暴れ出したという。

 尚、この雑誌記者は患者の両親から「患者の病理背景を理解していたのにも関わらず故意に刺激した」との理由で告訴されていたが、記者並びに出版者の誠意ある陳謝を認め翌々日に告訴を取り下げている。

 同様の症例として232Cフェチがあるが、1996年(最高記録は1992年の106口)を最後に患者報告はない。逆に最近報告が上がり始めた事例としてはSATAフェチがあり、未確認だが334口が最高。但し作成者本人は「サーバー用途として真面目に自作した物である」と語っており自作中毒患者か否かは未確認である。

風圧フェチ 

ファン日本のパーツショップでは冷却用のファンを実際に通電した状態で展示するという珍しい形態での販売が実践されている。 当然、購入客はそのファンが発する風圧を顔面で感じることになるが、展示用のファンが数十個並んでいる場合は、相当量の風圧を受けることになる。小柄な日本人女性はしばしば吹き飛ばされることがあるという。

 世の中には冷却用ファンの風圧を受ける行為に恍惚感を覚える者がおり、その殆どが自宅でも数十個のファンを常時回転させ、その風圧を楽しむ嗜好を有している。このような者を風圧フェチと呼称することが日本から提案されているが、他の国では事例が無いため、当該呼称は仮認証状態である。但し、他の国からの同様な患者が確認され次第、日本提案が正式呼称となる予定である。 

 パソコンは一切所有しておらず、冷却ファンのみを収集している風圧フェチも確認されているが、これを除くとこのフェチも100%自作中毒患者であると言って良い。

リアフェチ、ボトムフェチ

 これも呼称が正式に認定されたフェチ分類では無い。
むしろ一般の精神疾患の延長線上に分類されるべき症状であると言う意見が多数を占めており、本紙では紹介のみに留める。

(1)リアフェチ

 PCのリアパネルに異常な関心を示す患者。放置すると何時間でもリアパネルのみを注視している。中には過去に見た全てのPCのリアパネルのコネクタの種類や位置を全て正確に記憶している者も少なく無い。

(2)ボトムフェチ

 一般にタワー型PCケースのボトム(底面)には足やキャスターは別とすると何も存在しない。(電源下置きタイプの場合は空調孔がある物もある)
 ボトムフェチ患者は、リアフェチ患者と同様にボトムのみを1日中見つめている事に喜びを感じると言われる。

 何もない底面を指差して「ここからCPUにパワーが供給されるんです」と言った患者の事例もあるが、詳細な事例、およびその分析/研究は進んでいない。

ACケーブルコレクター

 当分科会会員に、ACケーブル(電源ユニットと家庭用コンセントを結ぶ一般に黒色のケーブル)のコレクターがいる。(雑誌等にも紹介されたので御存知の方も多いと思う)

 彼のコレクションは6000を越す。長さも30cmから10m超まで様々で、色だけでも28色を所持している。 それ以上に彼がこだわるのはコネクター部に刻印された各国の許認可マークであり、そのコレクトバリエーションは300を超す。

 ここまでに紹介した基準に従えば十分に「電源ケーブルフェチ」と呼称できるのであるが、彼の場合はもちろん全くの健常者である。彼を引き合いにだすまでもなく、単なるコレクターと病的偏愛者との差は紙一重である。

 当該医療の専門家であっても、両者の区別には十分な時間をかけた調査(および診断)が必要である。近年、工学的知識が全くない医療関係者による安易な診断が急増している。迅速かつ効果的な治療のためにも、何らかの国策としての対処が急務である。 

フェチフェチ

 昨年(2007年)あたりから、ネット上ではあるが出現報告が増えつつある。
これまでに紹介したフェチ患者の様な方々に異常な興味を示す自作中毒患者(完成品愛好者もいる)を意味する。

 実社会ではまだ「フェチフェチ」は確認されていないため、ネット社会特有の現象であるという見解が支配的であるが、詳細は全く解明が進んでいない。

まとめ

ここでは、パソコン自作中毒患者の中に比較的多くみられるフェチ患者についての代表的症状を紹介した。

 本ページの冒頭でも断り書きを入れたが、ここで紹介するフェチは必ずしも自作中毒患者とは限らない。

 まして、健常者の正常な趣味としての特定パーツ収集活動を、「フェチ」と呼ぶのは甚だしく不適切である。
関係各位はこの点を十分に理解した上で、節度ある行動をすることを切に望むものである。  

ファンとスライム
この写真は本文とは関係ありません

  (C)2007-2010 自作中毒オヤヂGATARO。 2013一部改変の上再掲

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