画像で見る歴代RETROFシリーズ
管理人が作成した、歴代のRETROFシリーズ(自作TTLコンピュータ)です。
RETROF 以前(1977年頃)
名も無き作品
RETROFの原点となった1970年代の作品です。ユニバーサル基板で作成しました。
テレビ(正確にはアマチュア無線で用いられていたSSTV)の画面に予めプログラミングした通りに文字を重ね合わせる装置で、コンピュータというよりも「プログラマブル画像ジェネレータ」に近い代物です。
作品に特に名前は無かったと記憶しますが、「TTLのみでコンピュータを作る」というRETROFシリーズの発想の原点となった作品です。
ケースや電源等は消失していますが、数枚組の基板の1枚が現存しています。
RETROFシリーズ 1作目(1978年頃)
RETORO-16 (旧綴り、現在はRETROFと綴っています)
実質上、これがTTLでコンピュータを作ろうとした最初で、基板もユニバーサル基板ではなく、自分でエッチングや穴あけをしました。
本格的にコンピュータの自作に挑戦した初の作品ですが、基本的な知識が全く足りず単なるゴミと化しました。
RETROFシリーズ 2作目(1989年)
RETORO-16B (旧綴り、現在はRETROFと綴っています)
時代は一気に10年経過します。この間はハードウェアよりもソフトウェアに夢中で、ハンダゴテは殆ど握っておりませんでした。
たまたま仕事で秋葉原に通う機会があり、そこで部品を衝動買いして作った作品です。命令のフェッチだけは上手く動いた記憶がありますが、やはり完動することなくゴミと化しました。
1990年〜2010年
仕事優先だった時代
この時代は趣味としての自作活動は(ATXパソコンの組立て以外は)ソフトもハードも全く行っていません。今だと確実に「過労死レベル」であろう激務をこなし、かつ人並みに家庭も持っため「そんなことしている暇は千歩譲っても絶対にない」というのが当時の実情でした。
2010年になって、やっと仕事の方もひと段落し、自宅のほうも20年ぶりに自分専用の部屋ができました。そのせいでしょうか、長年眠っていた「手作りCPUの自作欲」が目を醒ましてしまいました。
RETROFシリーズ 3作目(2011年)
RETROF-8
2011年の正月に「今年こそ学生時代の夢だったTTLコンピュータを作る」という目標を立てました。趣味としての電子工作のブランクは20年ありますが、設計技術はハードもソフトも20年前よりも格段に向上していたと思います。
本機はその年の8月に完成し、8bitながらも円周率を100桁求める性能があります。
RETROFシリーズ 4作目(2011年)
RETROF-BB (BBはブレッドボードの略)
前作RETROF-8の完成直後に「TTLコンピュータはどこまで簡単に製作可能なんだろう」と思い、試しにブレッドボードで作ってみた8bitのコンピュータです。ブレッドボード上でハンダ付けをするという本末転倒の作品です。
一応、「1から10までの足し算」くらいはできましたが、それ以上の事は何もできない、「つまらないコンピューター」に終わってしまいました。
RETROFシリーズ 5作目(2011年)
RETROF-VGA (VGAは表示回路の規格)
結局、発光ダイオードをチカチカさせるだけでは、コンピュータとしての応用は限られていることに気付き、画面表示回路内蔵のコンピュータを作りたくなりました。
旧式のブラウンモニタ用の画像表示回路は何度も設計経験がありますが、液晶ディスプレイ用の表示回路は初めてなので、まずはブレッドボードで実験しました。
非常に手を抜いた回路構成ですが、256×256ドットで16色の表示が可能です。
RETROFシリーズ 6作目(2012年)
RETROF-16
前作で得たノウハウを生かして、基板上に液晶ディスプレイコントローラーも内蔵させた力作です。大規模なプログラミングを可能にするために、Windowsパソコン上で作成した機械語コードを本機にUSB転送する機能も搭載しました。
しかし、ブレッドボードで確認した際は何も問題がなかった画像表示回路が、本機では非常に不安定で、ノイズ対策の重要性を痛感した作品でもありました。
RETROFシリーズ 7作目(2013年)
RETROF-16改 (英文名称は RETROF-16A)
前作のマイナー変更です。画像表示回路の安定化を行い、プログラム入力用のトグルスイッチを高級品に変えています(前作のトグルスイッチは数百回のON/OFFでバネがおかしくなりました)。
表示部(32個のLED表示)と入力部(プログラミング用のスイッチ群)が別基板となってしまったので、全体を金属製のフレームで補強しています。
RETROFシリーズ 8作目(2014年)
RETROF-16H (Hは8作目と、製作をした地名のイニシャルを兼ねている)
前作を1枚のPCBに凝縮し、更に画像表示回路をVGAからSXGA対応に強化したものです。完動していたらRETROFシリーズ最強のマシンになる予定でしたが、残念ながら致命的な設計ミスがあり完動には至らなかった失敗作に終わりました。
RETROFシリーズ 9作目(2014年)
RETROF-SXGA (SXGAは表示回路の規格)
前作の失敗原因の詳細を調べるためにブレッドボード上に、SXGAの表示回路を組んだものです。ビデオRAMのデータバスを奪って外部からデータを与える実験を行う為に作成したものです。
ブレッドボードも、これくらいのサイズになると結構大変でした。
RETROFシリーズ 10作目(2014-15年)
RETROF-16K (作成開始の名称はRETROF-16H2、Kは10作目を表す)
アルファベットで順番を表す時、IとOは数字に間違えるので使いません。従ってKが10を表します。
本機はクロスコンパイラもC++/CLIで作成し、完動に至ってます。1作目から何と37年もの年月が流れておりました。
RETROFシリーズ 11作目(2015-16年)
RETROF-16M
RETROF-16Kの改良機です。Kの次はLですがLはLow(廉価版)のイメージがあるのでMとしました。
前作に対しハード性能や命令体系を大幅強化するとともに、コンパイラやデバッガ等が走る統合開発環境もWindows10をクロスマシンとして作成しました。
RETROF-16M専用統合開発環境(Windows10で動作 C++/CLIで作成)
マネージ・アンマネージ混在だったRETROF-16K用の統合開発環境を、完全マネージ型で全面書換をしたものです。
RETROF-16M専用言語をコンパイルし、そのオブジェクトをUSBインタフェースでRETROF-16Mの主メモリに流し込む事ができます。
(初版完成は2016年1月。現在も改良作業が進行中)
RETROFシリーズ 12作目、13作目(2016-17年)
RETROF-16N(製作放棄)
前作のALUをROMに置き換えた物を作る予定でしたが、基板のパターンがあまりにも複雑になるので、回路の基本設計のみで断念したマシンです。
後日談になりますが、この基本設計は2018年に製作を開始する15作目に引き継がれることになります。
RETROF-16P
これはコンピュータではなく、単なるROMライタです。RETROF-16Nに搭載するフラッシュROMの書込器として作成したものです。FT245RLを用いてWindowsパソコンからデータを流し込む仕様です。基板は「トナー転写法」で作成しています。
完成はしましたが、残念ながら活躍はできませんでした。
ちなみに「RETROF-16O」と「RETROF-16Q」はそれぞれ数字の0や9と紛らわしいので欠番となっております。
RETROFシリーズ 14作目(2017年)
RETROF-16R
RETROF-16Mの主メモリを倍増した改良機です。LEDも目に優しい色に変えましたが、それ以外は前作との差異はあまりありません。統合開発環境も前作の流用ですが、単に流用しても「つまらない」ので、C++/CLIで書かれていた前作のソースを全てC#で書き換えました。
結果論ですが、忘れかけていたC#(10年以上前にちょっと触った程度だった)を思い出すために作った様なマシンです。
おなじみのインベーダーゲームです。
RETROFシリーズ 15作目 (2018年?)
RETROF-2020(仮称)
勿論作ります。完成は2019年以降になると思います。
基板が複雑になりすぎるため製作を断念したRETROF-16Nのリベンジです。
基板の問題は自分でエッチングするのを断念し、専門業者に依頼することで複雑なアートワークを実現する予定です。
現在24bit版と16bit版の2種類の構想を思い浮かべている状況ですが、おそらく16bit版を先に作ることになると思います。
(2016年12月31日記)