本ページは2009年頃に書いたものを2013年に一部修正・加筆したものです。
 最新のブラウザでは一部レイアウトが崩れたりしますが、御容赦ください。 


昭和30年代の自作少年にとっては、カマボコの板一枚だって、大事な大事な工作の材料でした。


カマボコ板工作 その1 毛髪湿度計

毛髪湿度計

ひょんな事から、毛髪湿度計を自作することになりました。 

50~60才以上の年配の方なら、作った記憶のある方も多いと思います。

若い世代の方々のために若干補足しますと
人間の毛髪は湿度により長さが変わる(伸び縮みする)ので、それを応用した湿度計です。
「長さが変わる」と言っても1%程度ですので、僅かな変化を「テコの原理」で増幅します。

写真を見てお判りのように、1mmの変化で針(写真の赤い部分)が5mm程動きます。

一般に、東洋人の黒髪よりも西洋人の金髪の方が高感度に作れるとありますが、
小生の記憶では、それ以上に個人差が激しく、日本人の中にも高感度の髪を持っている方もいた様な気がします。

(輪ゴムを強くしすぎると、毛髪がのびてしまい検出不可になりますので、この点も注意)


カマボコ板工作 その2 モールス練習機

カマボコ板 モールス練習機

 前述の「毛髪湿度計」が身内の中学生に好評だったので、更に昔を思い出して作ったのがコレ。

写真左のキーを押下すると、電磁石の力で右下の鉄板が振動し、「ブーブー」と音がします。 

私は小学生の頃にこのような物をよく作りました。
私を含め、同じような経験をされた方々が、昭和40年代の高度成長期の「モノ作り大国日本」を支えたのでは無いでしょうか?

カマボコ板の入手・金属板の入手方法

カマボコ

上記「モールス練習機」の土台は実はカマボコ板ではありません。
木片も鉄板も実は東急ハンズで購入しました

昔は東急ハンズの様なDIY店などありませんし、仮にあったとしても、「工作の材料をお金を出して買う」という感覚は全くありません。ですから、「毛髪湿度計」にしても「モールス練習機」にせよ、その土台は「カマボコ板」が最高級品(?)でした。 しかし、カマボコ板工作のためだけにカマボコを買うわけにもいかず、晩御飯のおかずを考える母親に「カマボコが食べたい」と言うのが精一杯でした。

本工作では市販木材(シナ材 84円)で代替してます。金属部分は、昔は空き缶を金切挟で切って作ったものですが、これも市販の鉄板を使用しました。

接合に使う釘(ガラス釘)は昔は金物屋さんでグラム売りしており、これだけは5円玉だったか10円玉だったかは忘れましたが、硬貨を握り締めて買いに行った記憶があります。


カマボコ板工作 その3 豆電球信号機

信号機の模型

カマボコ板工作も、50年前の記憶が次第によみがえり、ついに、昭和30年代の「夏休み自由工作」の定番中の定番、「信号機」の復刻に挑戦することになりました。
 

現代なら、LED(発光ダイオード)を使うのが当たり前なのでしょうが、今回は昭和30年代の作品をできるだけ忠実に再現したかったので、あえて豆電球を使ってみました。 (というか、近所の100円ショップで3個入り100円の豆電球を偶然見つけたのが今回の事の発端です)

もちろん、着色は昔懐かしい「カラーセロハン」を使いました。


セロファン紙 クリプトン豆電球

工作用紙で作った外形 信号切り替えスイッチ 三連豆電球

外枠は厚紙(工作用紙)、パネルは1mm厚のプラ版に1cmφの穴を3つ並べました。切り替えスイッチはネジと金属版です。
支柱はプラスチック製の「編み棒」を愚妻の洋裁箱から黙って拝借し、L字金具をインシュロック(結束バンド)で接続。
配線は中空の編み棒の内部を通し、カマボコ板の裏面を彫刻等で削って配線スペースを確保しました。

組み立て中の信号機 電球とポールの接続部分 カマボコ板の裏側

今回は、結構疲れました。 (オークションに出すとしたら、スタート価格は2000円にしたいと思います)


カマボコ板工作 その4 単極モーター

当初は「モールス練習機」と同様に釘にエナメル線を巻いて、2極モーターを作ろうと思っていたのですが、いろいろと調べているうちに「単極モーター」というものがあることを知り、自分でもオリジナルの「単極モーター」を作って見たくなりました。
このモーターの製作記事は昔からありますが、「回転子の軸受と電池用の電極を一体化する」というのは小生のオリジナルです。


真鍮板と木ネジ単極モーターの部品工芸用に売られていたの木の玉と真鍮パイプ作った回転子完成写真

(左から)穴をあけた5x10cmの真鍮板と木ネジ。全ての部品。工芸用に売られていたの木の玉と真鍮パイプ作った回転子。完成写真 


単極モーターの原理と「単極モーター」という呼称について

ローターの整流部分の拡大写真

多極直流モーターでは、一般にローターの回転角により電流の方向を変えることにより回転します。
(固定磁石とローターが引き合う位置に来たときに磁界を反転させ、そこで止まるのを防ぐ)

対して、このモーターは、「固定磁石とローターが引き合う位置に来たときに電流を止める」ことにより回転します。電流を止める仕組みは単純であり、左の写真の様に軸の一部にテープを貼っているだけです。
(左の写真は黒いテープを貼っているが、本ページの他の写真では同形透明のテープを使用)

尚、ブラシがON/OFFの機能しかないため「単極モーター」と称しましたが、巻線面の前と後に発生する磁界の両方を使用しているため、実際には(磁場的には)「2極モーター」です。


カマボコ板工作 番外編 カエルの足

カエルの足いきなり、キモい画像ですいません。某掲示板で「カマボコ板工作」のネタを募集したところ、「電気でピクピク動くカエルの足」というリクエストがあったので作ってみました。

粘土

もちろん、足は粘土で作ったニセモノです。普通の工作粘土を平たく伸ばし、そこに黒・緑・赤のマジックで着色した後、丸めてカエルの足らしくしました。

ヌルヌル感を出すために、整髪用ジェルを最後に塗りました。 
愚妻は「本物」だと思ったらしく、机の上に置きっぱなしにしてあった本品をみて悲鳴をあげました。
先に説明をしておくべきでした。(反省)


カマボコ板工作 番外編 アノマロカリス

アノマロカリス

カンブリア紀(約5億年前)の海に生息していたアノマロカリスの粘土模型です。(あまり似てないけど…)

数十年前、(二重らせん構造が発見されて間もない頃)に遺伝生物学をほんの少しだけ学んだ経験があり、上記のカエルの足を作ったついでに、余った粘土で作りました。 

余談ですが、DNA配列はコンピュータのプログラムと多くの共通点があります。コンピュータが2進数8桁で「バイト」を構成するのに対し、DNAは4進数3桁が情報単位になります。

DNAは地球外知性が作った炭素型ロボット(=地球の生物)のプログラムなのかもしれませんね。

アノマロカリスの開き 

左の写真はアノマロカリスを開いて焼いたものです。結構美味です。
(もちろん、ウソです。本当はこのHPを書いた日の夕食の「鯵の開き」です)


カマボコ板工作 番外編  はく検電器(箔検電器)の自作

★本工作にカマボコ板は出てきませんが、わざわざ新コーナーを作るほどの作品でもないので、このページにて紹介します。 (2010/12)


材料は牛乳瓶とチューインガム?

御年配の方は中学校(小学校or高校かも)時代に見た記憶があるかと思います。
静電気を測定する道具で「箔検電器」と言います。静電気を帯びると瓶の中に逆V字形に垂らしたアルミ箔が広がるという代物です。

「箔検電器」の原理や作り方は「サイト検索」で数多く見つかりますので、ここでは詳細は述べませんが、他のサイトには無かった情報(裏技?)を2つほど紹介します。

材料はガラス瓶、コルク栓(紙でもいい)、真鍮パイプ(被覆を剥がした針金ハンガーでも十分)。
また、天辺に5円玉をネジ止めしましたが、これも必須ではありません。

チューインガムの包装紙を煮る

台所にあるアルミホイルより、チューインガムを包む銀紙の方がより薄くて軽量です。チューインガムを包む銀紙は薄紙と一体化しており、 剥がすのは困難ですが、1分ほど鍋で煮詰めると、銀紙(アルミ箔)と普通の紙が分離します。

遊びに来た親戚の子供に超能力を見せる

裏技というより、「こども騙し」です。相手は小学生くらいが「手頃」でしょう。
相手に竹と紙でできた団扇を渡し、瓶を扇がせます。 ガラス瓶に入っているので風は当たらず、当然、中のアルミ箔も揺れません。そこで、
「私にはガラス瓶を通過させて風を送る超能力がある」と言って、よくこすったプラスチック板で瓶を扇ぎます。まるで本当に風が当たっているかの如くプラスチック板の動きに連動してアルミ箔が動きます。


カマボコ板工作(その5) ブロッキング発振回路

【警告】
人体を感電させるのに十分な高圧を発生する回路を含んでいます。よくわからないまま同じものを作成するのは大変危険です。
本記事の参考による感電事故に関し当方は一切の責任を持ちません。この点をご理解の上、参照を願います。


ブロッキング発振回路

 単三乾電池2本でネオンランプを光らせる装置 

 昔(1960年~70年代)は回路図が読めない小中学生のために、上記の様に配線(接続)を写真や絵で紹介する雑誌なども数多くありました。(実体配線図とか実体接続図と呼ばれていました)
とにかく、難しい理論の勉強は後回しとしても、絵や写真の通りに接続さえすれば、不思議な電子機器を自作できた時代でした。

 しかし、高校生くらいになると、本に書かれている通りの部品を買って、本に書かれている実体配線図通りに接続するだけでは、「自作」とは言えない事に気がつきます。そんな高校生の中で「本当の自作の世界を知りたい」という志のあるものが大学の電子工学科等に進んで本格的な電子設計を学んだものでした。

 さて、昔は電子工学を学ぶ者にとって、ブロッキング発振回路は本格的な電子設計の「入門中の入門回路」と呼ばれていました。
その理由は上記の写真を見てもお判りのように、コイル(上記写真では昇圧を兼ねてトランスを使用)、コンデンサ、抵抗、トランジスタが各々一個のシンプルな回路にもかかわらず、抵抗やコンデンサの最適値をトランジスタの特性を求めるとか、発振周波数の計算方法の理解など、基本的な必要知識が凝縮されていることにあります。

 例えば、私はトランジスタにたまたま手元にあった2SC372を使いました。ベースの入力抵抗は2.2KΩですが、これは最適値ではありません。また、抵抗とパラ(並列接続)している0.1μFのコンデンサも必須ではありません(外しても動作します)。
なのに何故、2.2KΩを選択し、0.1μFのコンデンサをわざわざ使用したのでしょうか?
答えはここでは申しませんが、回路設計というものはその答えを自分で導くことであることは理解していただきたいと思います。

(詳しく勉強したい方は、ブロッキング発振回路で検索して見てください。親切丁寧な説明をしているサイトが沢山見つかると思います)

部品構成の補足

【その1】 前項の写真にある緑色のランプはネオン球であり、点灯には一般に50~70V必要です。これを3Vで行うのが前項の工作の要旨です。これも現代風に言い換えると3V以下では点灯しないLEDを0.1Vの電圧で点灯させる実験と同じと考えてよいと思います。

【その2】 トップの写真にあるトランスにはT-26と刻印されていますが、これは国産(山水電気)のST-26の互換品です。
インピーダンスは20KΩ/1KΩ、直流抵抗が1600Ω/73Ω、巻き線比が約4.4:1です。昇圧用に使用していますので、ネオンランプを一次側、トランジスタを2次側に接続しています。(厳密に言うと一次と二次の逆使用になります)

【その3】 写真では見にくいですが、カマボコ板に純銅製の釘を打ち込んでラグ板(配線拠点)の代わりにしています。 昔は簡単な回路実験をする際によく用いた方法です。純銅製の釘を使うと半田のノリも好調です。


ネオン球点灯確認装置

【オマケ】 左の写真の装置は、ネオン球の特性測定の為に別途作成した実験装置です。ネオン球の点灯開始電圧を測定する為に作りました。


カマボコ板工作(その6) ゲルマニウムラジオ

 電池が無いのに音がでる不思議ラジオ 

ゲルマニウムラジオ

ご年配の電子工作マニアの方ならゲルマラジオ(ゲルラジ)、もっと御高齢の方は鉱石ラジオと称して作成したことがあるかと思います。

今回は入手すら困難になりつつある新品のエアバリコンを使用しました。
コイルは手巻き、検波器(ダイオード)は定番のIN60です。

尚、カマボコ板の下に車輪がついてますが、これは特に意味がありません。
何となくアクセサリー(?)としてつけてみただけです。

ちなみに、私の学生時代の下宿には風呂が無く、金属製の洗面器を抱えて銭湯に通ったものですが、当時の金属製洗面器の底を虫ピンで丹念になぞると、とても検波効率の良い所がありました。金属製のバケツも同様の箇所(おそらくゲルマニウム等の不純物が露出していたのだと思う)があり、洗面器ラジオやバケツラジオなども作った記憶があります。