TTL-ICのみでコンピュータを作るにあたり、完成した作品の外観からは読み取りにくいと思われる「小技」を集めてみました。
随時記事を追加していますが、本頁での記事の順番は、追加順ではなく実際の作業(企画→基礎検証→回路設計→基板作成→部品実装→HW試験…)の順になっています。 メインページに戻る

左の画像は「RETROF-16改」の命令デコード用のダイオードマトリクス部分。
青く見える部品がダイオード(BAT43)。 これでANDゲートを構築する事により、命令デコードの必要なTTL数を大幅に削減している。これも「趣味のコンピュータ作り」ならではの小技。


部品の整理

各種部品は「クッキーの空き箱」や「靴の空き箱」、「お茶缶の筒」等に格納していたのですが、思い切って100円ショップで小型トランクなるものを18個「大人買い」しました。(店員さんが変な顔をしていましたが)

抵抗やコンデンサ、Tr等の小物部品は小さな袋に種別毎に仕分けしてから、このケースに入れています。

安価な割には便利な部品整理法です。


回路検証用ブレッドボードの電源コネクタ

ブレッドボードで大きな回路を組む事もあります。 しかし実際にはLEDの消費電流の実測や、型番不明ダイオードの電圧降下の確認のために、小さなボードを一瞬だけ使うことの方がが多いです。 そのときにいつも面倒なのは電源の供給方法です。DCアダプターをブレッドボードに載せるため変換基板なども市販されていますが、私はいつでもすぐ使える様にアダプター付きの小型ブレッドボードを一つ用意しています。

   

作り方は簡単で、写真の様にニッパで2つの穴を繋げるだけです。こうすると電源アダプターがぴったりはまります。これだけでも充分ですが私は更に瞬間接着剤で永久固定して使っています。「怪しい部品」の特性調査時などにとても役に立っています。

感光基板の露光装置

 本格的な電子工作は感光基板を利用する事が多いです。 もちろん、小ロットにも対応してくれるPCB作成の専門業社に依頼した方が確実なのは承知していますが、「個人の趣味としてのコンピュータ作り」に限っては「何事も可能な限り自作する」という方針を貫いてます。

 という事情で露光装置も自作です。 
 「自作」といっても、百均ショップで売っている「電球型蛍光灯」を4本、「海苔の空き缶」の中に並べただけです。



左の画像が実際に「RETROF-16改」のPCBを実際に露光してたときの画像です。
20cm×15cmの基板が5分で露光できました。
(蛍光管表面から基板表面まで12cm、途中3mm厚の通常ガラスあり)

缶の上部の左下に写っているのは時間測定用のキッチンタイマーです。
当初はタイマーも内蔵させようと思ったのですが、それほど使用頻度は高くないので結局、タイマーどころか電源スイッチも省略しました。コンセントを挿すと光り、コンセントを抜くと消えるだけです。


作業用メガネ

筆者は老眼がひどいため、普段は視線の上方向が「度無し」で、下を見るに従い老眼の度が強くなるメガネをしています。(普通の視力は裸眼で左右共に2.0)
しかし、最も強い所でも机上の書類にピントが合うように作ったため、細かいハンダ付け作業等で顔を近づけると、よく見えなくなります。
ハンダ付け専用のメガネを作れば良いだけの話ですが、ハンダ付けだけの目的でメガネを新調するのももったいないので自分で作ってみました。

材料は百円ショップのメガネ2つです。度数1~2の老眼鏡を2枚重ねてみました。正面を見るときはレンズを1枚だけ、下を見るときはレンズを2枚使うように位置を調整して固定します。ハンダ付け作業は60cmほど離れたディスプレイの設計資料を見るながら行う事が多いので、2焦点は必須です。


2つの眼鏡の固定は「アルミパンチ板(画像参照)」を万能バサミで細長く切ったものを「支え」として3mmのネジで止めるだけです。
百円ショップのメガネの精度はピンキリなので、いろいろな店でいろいろな品を買い込んで、もっとも歪みが少なくなる物を選び、連結する位置や角度を試行錯誤しました。
結果として1つだけとても調子の良いめがねが完成しました。細かなハンダ付けも非常にクリアに見えます。これで200円なら「お得」です。

このメガネは眼にかなりの負担をかける様です。うまく調整しないと30分程度の着用が限界かと思います。精度の悪いメガネで作った物は5分ほどで頭や目の奥が痛くなります。
もし、同じ物を作ろうとする方がおられましたら、自己責任で着用願います。


基板のチェック

自分でエッチングする基板は、断線や短絡がしばしば発生します。ですから部品実装の前後の目視検査はとても重要です。粗いパターンなら前述の「作業用メガネ」でも充分ですが、細かいパターンになるとルーペが必要です。

そこで便利なのは画像の様なUSB接続のマイクロスコープです。ルーペよりもはるかに簡単にパターンがチェックできます。

画像(左)は筆者が実際に購入したUSBマイクロスコープです。
ピント合わせに少々「慣れ」が必要ですが、趣味の電子工作用としては充分かと思います。 カメラを移動してから画面が変わるまでに極僅かなタイムラグがあります。 カメラの周囲にLED照明が内蔵されているので明るさは充分です。

 但し、この辺りの感想は人によって大きく変わると思います。 筆者自身は「これでも充分」と思いますが、「この製品を推奨」しているわけではありません。
 安価な「お肌のチェック用」を「基板の検査用」に使える事を紹介したまでです。


基板のパターン修正

どんなに念入りにチェックしても、オリジナルPCBにはパターンの間違いが不思議と発生します。
引き忘れたパターンはジャンパ線で接続し、誤って接続したパターンは切断します。
このパターン(銅箔)の切断に「普通のカッター」を使っている方も多い用ですが、私は「デザインカッター」を使っています。
人によって感じ方は異なるかと思いますが、「普通のカッター」より遥かに切れ味抜群です。

デザインカッターの「ホルダー(柄)」の部分は百均ショップのもので充分ですが、

「刃」は安物は使わない事をお勧めします。
(切れ味が「月とすっぽん」です)



第三の手

先日、DIY店で自由自在に曲がる被覆付針金を見つけました。
太さや固さ、被覆の色も様々な物がありましたが、写真の品を1つ買ってみました(\367)。

早速、適当な長さに切ったものを4本、熱伸縮性チューブで留めてみました。


脚には模型用の木製の玉を、腕には百均ショップで購入した「蓑虫クリップ」を装着し、出来上がったのがこれ。

左の画像を見てお判りの様に、細かいハンダ付け等を行う時に、「ちょっと、ここを持っていて欲しいな」と思ったときに使う「第三の手」です。

出番は少ないですが、1台あると何かと便利です。

この「第三の手」を作る前までは、模型店で2000円ほどで買った同様の市販品を使っていました。
しかし「グニャグニャ感」がイマイチの上、クリップ部分も使いづらいものでした。
ですから、今回総額500円ほどで作る事ができたこの「第三の手」にはとても満足しています。



論理状態確認用LED

TTLコンピュータの様に論理回路がある程度の規模になると、回路の途中にある素子の論理を常時監視したくなることがあります。
普通ですとテスターやロジックアナライザー、あるいはオシロスコープのプローブを当てるしかないのですが、LEDを設置するとその手間が省けます。

「LEDを光らせるのには10mA以上必要で、そんな余裕はないしバッファを入れるスペースの余裕も無い」と誤解されている方もおりますが、現在の高輝度LEDは僅か0.5mAも流せば充分に点灯/非点灯を視認できます。 一般の74LSシリーズのTTLならばH出力→GND間の最大電流は8mAまでOKですから、バッファを挿入したりせずとも、適当な保護抵抗を介して直結が可能です。

【画像】TTLの上にLED(約3mm角の赤色チップLED、型番LST676-R。 秋月にて40個200円)を接着後、側面をチップ抵抗(6.8KΩ)で結線。


上記で作った「LEDを背負ったTTL」はそのままICソケットに挿して使えます。
一通りの試験が終わったら、「普通」のTTLと挿し替えることも可能です。


2000円テスターの改造

テスターは幾つか持っていますが、精度が必要になるような測定は滅多ないので、普段は安物のテスターを使ってます。

写真のテスターは購入直後にプロ-ブ付近の電線がビニール被覆の内部で断線してしまったため、とりあえず蓑虫クリップと、ブレッドボード様のジャンパーピンを付けてみたものです。

ところがこれが、実際に使ってみるととても便利で、今もこのまま使っています。
皆さんも騙されたと思って、テスタープローブの先を、蓑虫クリップと、ブレッドボードのジャンパーに取り替えてみませんか?

壁掛けLCD

RETROF-16は1024×768(RETROF-16Hは1280×1024)のLCDに画像を表示します。ところが作業机(兼事務机)の机上には既にメインのLCDとサブのLCDが載っていますので、そこにRETROF-16の用のLCDも置くと「超手狭」です。そこでRETROF-16の用のLCDを「壁掛け式」に改造する事にしました。まずはパソコンショップに行き専用器具を物色したのですが決して安価とはいえず購入は断念しました。そこで100円ショップに売っている部材だけで「壁掛け治具」を自作する事に挑戦しました。

【写真右】PC用LCDは背面に壁掛用のネジ穴があるので、そこに「台所用ネットパネル」を「家具用の補強金属板」でネジ止めするだけです。いずれも税込105円です。

【写真左】これを「鴨居フック」(これも105円)に引っ掛けるだけで完成です。

壁掛けにするとACケーブルが抜けやすいのでインシュロック等で固定した方が良いです


押入れの奥に使わなくなった低解像度のLCDを仕舞い込んでいる方も多いと思いますが、この方法で復活させるのは如何でしょうか?
通電せずとも「オブジェ」として通用するかもしれません(笑)。

★安全確保は自己責任で願います。取付強度不足による落下はパネルを割るだけではなく、小さなお子様の頭を直撃する危険もあります。


メインページに戻る